そんなところで熱をはかるな

秋の遠足についての作文を集めたところ、一人だけ白紙で出した小学生がいた。
その男の子は、大人しく、宿題もいつもきちんとやってくる子供だったので、先生は怒ったりせずに、忘れてしまったのはしょうがないから来週の月曜日までに出してね、と男の子に言った。
次の週、男の子は作文を持ってこなかった。正確には持ってはきたが、白紙のままだった。先生は男の子にお昼休みに職員室に来るように言った。
他の子供たちがドッヂボールをしたり鬼ごっこをしたり、遠足のことなんて何も考えたりせずにおもいおもいにお昼休みを遊んでいるなか、男の子は職員室に行った。
先生「どうしてかかないの?」
男の子「かけないんです」
先生「どうして書けないの?遠足はつまらなかった?」
男の子「楽しかったです」
先生「じゃあその楽しかったことを書いたらいいんだよ」
男の子「どこから書いていいのか分からないんです」
先生「んー、じゃあまずいちばん楽しかったことを書こうか」
男の子「‥‥‥。ぜんぶ楽しかったんです。ぜんぶ同じなんです」

結局男の子は、
「すごくすごく楽しかったです」
とだけ書いて作文を提出したのだけど、こういう場合、作文の評価はまあ低いにせよ、取り組む態度としてはいちがいに長く書いたやつがエライわけじゃなくて、男の子はとても誠実に作文に取り組んだんだと思うんだよね。
なにが言いたいのかというと、飲み会とか打ち合げとかのあとに、女の子からメールが来ることがあるでしょう?きょうは楽しかったです。また会えたらいいですねー、的な。
ああいうのは、すぐに返信を返さないとダメらしいし、自分が出した側のときに返信が一日たってからとかだったらへこむけど、相手に向かって真剣に何か言おうとするとそれくらいかかるよね、だから待ち時間だけで誠意や愛情をはかられても困る困る。と思ったってことです。
あ、あと怨霊丸くんみたいに肛門で熱を計られても困る。どうせするなら自前の体温計をでしてもらいたい。保険室の体温計を使ってもらっては困るのだ。
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